15cm?31cm?どんなウィッグができるの?
ヘアドネーションで集められた髪の毛は医療用ウィッグの素材として用いられますが、長さによって用途が違います。ここでは長さごとにできるウィッグの種類や、どんな長さが望ましいのか…といった情報をまとめてみました。
15cmと31cmでは製作できるウィッグの種類が違います
15cm以上31cm未満…髪の毛つきインナーキャップウィッグ
15cm以上31cm未満の髪の毛から作れるのは、髪の毛つきインナーキャップウィッグと呼ばれるものです。これは頭頂部に植毛をしないタイプのウィッグで、頭頂部は帽子をかぶって隠すことになります。帽子についてはニットキャップ、ベレー帽、キャスケットなど、好きなデザインの帽子を自由に組み合わせて使用可能。入院中の病院内を移動したり、買い物へ行くなど、ちょっとした外出のときにも便利なウィッグとなっています。
ちなみに15cm以上31cm未満の髪の毛では、頭全体を覆うフルウィッグを作ることはできません。15cmというのは、ウィッグに植毛をしたときに髪の毛が寝るギリギリの長さ。ウィッグへの植毛は髪の毛を半分に折ってV字にして植えるため、31cmの長さがあってようやく15cmの髪の長さがあるウィッグができるのです。15cm以上31cm未満だと半分にしたとき15cmに満たないため、フルウィッグには向かないのです。
ちなみに、ヘアドネーションを推進している協会「JHD&C」と「HERO」の2団体は、15cm以上の髪の毛は受け付けていません。「つな髪」では15cmからでも髪の毛を受け付けていましたが、2019年10月21日から、15cm以上31cm未満の受付を一時休止しています。
31cm以上50cm未満…ショート~ミドルヘアのフルウィッグ
31cm以上50cm未満の髪の毛であれば、医療用のフルウィッグの素材として使うことができます。ウィッグへの植毛は髪の毛を半分に折ってV字にして植えるのですが、31cmの長さがあれば髪の毛が寝る最短の長さである15cmを確保できます。これならば、ショートからミドルくらいの長さのフルウィッグを作ることができます。
ちなみに、ウィッグの髪の毛は短いほうが15cm以上になるよう、バランスを考えながら植毛されています。寄付された髪の毛が40cmであった場合は長いほうが24cmで短いほうが16cm、50cmであれば長いほうが34cmで短いほうが16cmといった具合です。つまり40cmの髪を寄付しても、40cmの長さのウィッグができるワケではないのです。
医療用ウィッグを希望する女の子のほとんどはロングヘアのウィッグを希望しているため、髪は長ければ長いほど歓迎されます。思っている以上に、長い髪へのニーズが高いことを覚えておくとよいでしょう。
50cm以上…ロングヘアのフルウィッグ
50cm以上の髪の毛は、ロングヘアの医療用ウィッグの素材として理想的な長さとなっています。医療用ウィッグを希望している子どもたち、とくに女の子が希望しているのはほとんどがロングヘアのウィッグ。また、頭頂部を帽子で隠すタイプのウィッグよりも、頭頂部まで植毛されているフルウィッグのほうが人気は高くなっています。
ヘアドネーションは、有名人などの参加によってその活動が広く知られるようになってきましたが、50cm以上の髪の毛の寄付はまだまだ少ない状態です。そのため、髪の毛は長ければ長いほど歓迎される傾向にありますが、伸ばせば伸ばすほどドナーの物理的・心理的な負担は大きくなります。ストレスを溜めすぎたりしないよう、ムリのない範囲で伸ばすようにしましょう。
今現在ある程度の長さが確保できている人は、現時点でどれくらいの長さを寄付できるのかをチェックし、そのうえでもう少し伸ばせるかどうかを検討してみてください。
何cmの寄付が望ましいの?
日本でヘアドネーションを主催している団体は「JHD&C」「つな髪」「NPO法人HERO」の3つとなっていますが、すべての団体で31cm以上の長さが必須条件となっています。つな髪だけは15cmでの寄付を受け付けていましたが、2019年10月21日から受付を一時的に休止しています(再開時期は未定とのこと)。
ヘアドネーション団体が医療用ウィッグを無償提供しているのは、18歳以下の子どもたち。子どもたちの中には多感な時期の子も含まれているため、見た目はとても重要な問題です。とくに女の子は、50cm以上の寄付でできるロングヘアのウィッグを希望しているため、髪の毛は長ければ長いほど貴重なのです。
しかし、そんなニーズに反して、一番不足しているのは50cm以上の髪の毛となっています。髪を伸ばすのは大変な作業ですからムリに行う必要はありませんが、協力できそうな人は50cm以上の寄付をするとより一層喜ばれるでしょう。
髪が31cm伸びるにはどのくらいかかる?
ヘアドネーションに参加するには、31cmの髪の長さが必要となります。では、この条件を満たすまでにはどれくらいの時間が必要となるのでしょうか。
髪の毛が伸びるスピードは1日あたり0.3~0.4mmと言われているため、平均すると1週間で伸びる長さは2.5mmほど。このペースで伸ばせば1ヶ月で約1cm・1年で約12mとなり、31cmまで伸ばすには約3年の期間が必要となります。
ちなみに、髪の毛には生え変わりのサイクル(毛周期)があり、このサイクルは男性で3~4年、女性で5~6年と女性のほうが長いのが特徴。これには女性ホルモンのひとつであるエストロゲンが関与していると言われており、エストロゲンの分泌量の多い人のほうが髪の伸びるスピードが速くなるとされています。一般的には若い人のほうが伸びるのが速く、年齢を重ねるにつれて髪の成長速度も遅くなると考えられます。
しかし、毎日の心がけ次第で髪を速く伸ばせるかもしれません。まず、毛根にしっかりと栄養が行き届くよう、血行促進を意識しましょう。運動や入浴で体を温めたり、深呼吸で酸素をたっぷり取り入れることも有効です。また、頭皮は疲労やストレスで硬くなりやすいため、こまめに頭皮マッサージを行うのもよいでしょう。
まとめ
自分の寄付した髪の毛がどのようなウィッグになるのか、だいたいイメージできたでしょうか?医療用ウィッグをひとつ作るには、約30人分の髪の毛の寄付が必要となっています。少しでも多くの寄付が必要となっていますが、決してムリをする必要はありません。まずは「このくらいまでなら」という自分のできる範囲を決め、そこからスタートしてみるとよいでしょう。